東京・新宿の真冬の怪 排水溝から男性遺体見つかるも…「におわない」事件性(産経新聞)

【衝撃事件の核心】

 東京・新宿の高層ビル街の近くにある住宅街で、排水溝の中から身元不明の男性遺体が見つかった。目立った外傷はなく、着衣に乱れがないことなどから、警視庁は「事件性をにおわせるものは今のところない」としている。過去には福島県の村で、くみ取り式トイレの便槽の中で男性が“怪死”するケースもあり、その際は「のぞき目的」とみられていた。だが、新宿の男性が遺体で見つかった経緯は不明のままだ。男性はなぜ、排水溝に入ったのか−。謎は深まっている。

■暗闇から頭部 「人形みたいだけど」

 12月16日午前8時すぎ。清掃会社に勤務する男性作業員3人は、百人町3丁目付近の排水溝の掃除を始めた。排水溝は円筒状でフタがかぶせられ、底に近い側面から下水道につながる直径約20センチのパイプが出ている。作業員たちは手際よくフタを開け、底にたまった泥や、ゴミをバキュームで取り除いていった。

 作業から3時間以上たった午前11時半すぎ。「都営百人町3丁目第2アパート6号棟」前を通る小滝橋通りにある排水溝の清掃に取りかかったときだった。フタを開け、日が差し込んだほの暗い排水溝の中から突如、帽子をかぶった頭が姿を現した。

 「人形みたいなものが入っている」

 作業員は当初、こう感じたという。

 作業員が同僚2人ともう1度、“人形”を凝視すると…。

 それは人形ではなく、男性の遺体だった。前屈みの姿勢でうなだれており、着ていたシャツから若干、右肩がのぞいてみえていた。腐敗臭は感じなかったというが、後の捜査で腐敗が進んでいたことが判明する。

 作業員は同僚と現場から約150メートル離れた交番に駆け込んだ。排水溝の回りにはブルーシートが張られ、この日夕、遺体は引き上げられた。

 新宿署などによると、死亡していた男性は白髪交じりの頭髪で、60〜70代とみられる。身長は約165センチで、直径約50センチ、深さ約120センチの円筒状の排水溝の中にすっぽりと入り、体育座りをするように座り込んだ状態で死亡していた。

 男性は毛糸の帽子、眼鏡姿で、カーキ色っぽい半袖のTシャツ、黒っぽいジーパンを着ていた。遺体が排水溝から引き上げられたとき、靴下や靴は履いていなかった。免許証など身元の特定につながるようなものも持っていなかった。

 司法解剖の結果、男性に目立った外傷はなく、死因は不明だが、水死や損傷による死亡ではないことが分かった。腐敗状況から死後1週間〜2週間程度が経過していたとみられる。排水溝の清掃は年に1、2回。もしも清掃の時期がもっと後だったら、遺体発見ははるかに遅れた可能性がある。

 遺体を発見した作業員と同僚はこの日、捜査員から事情聴取を受け、こう聞かれたという。

 「自分で入り、中からフタを閉じることは可能ですか」

 作業員らはそれまでの経験から、答えを導き出した。

 「可能です」

■傷、眼鏡、小滝橋通り… 低い事件性

 「事件性を積極的に、におわすようなものが出てきていない」

 ある捜査幹部はこう説明する。

 事件だった場合に考えられる状況は、ほかの場所で殺害されたり、あるいは病死したりした男性の遺体が何者かによって排水溝の中に遺棄された−というものだ。

 だが、捜査幹部は目立った外傷がないことに加え、遺体が眼鏡や帽子を着用していたことに着目する。

 「仮に誰かに運ばれたら、途中で眼鏡などが落ちる可能性が高い」からだ。一方で靴や靴下をはいていないことについても「パイプを通じて下水道に流れ出たのかもしれない」(捜査幹部)という。

 さらに、排水溝の位置からして、遺棄現場として選ぶ可能性は低いという。小滝橋通りは新宿と高田馬場を結び、車や人の往来がひっきりなしにある上、現場となった排水溝は交番や消防署の目と鼻の先にあるからだ。そして、都営アパートの住民の目もある。

 「犯行場所としてはリスクが高すぎる」

 捜査幹部はこう話す。

 何者かがフタを開けて男性が落下した可能性についても、男性のアゴなどに外傷がないことから考えにくいという。

 こうした状況を踏まえ、警視庁新宿署は男性が何らかの原因で自らフタを開けて中に入り込み、フタを閉めた−という見方に傾いているのだ。

 でも、なぜ…。

 「寒さをしのぐためではないか」

 男性が半袖Tシャツなど薄着だったことから、そう推測する捜査関係者がいる。

 暖を取るために地下に−という例は確かにある。

 遠く離れたモンゴルの都市部では、寒さをしのぐためにマンホールの中で生活する孤児「マンホール・チルドレン」の存在が知られている。しかし、そこには温水供給パイプが通っているため、孤児たちは暖を取れるのだ。

 百人町の排水溝を管理する新宿区道路課の男性職員は「確かに排水溝の中に入れば、真冬の寒い風はしのげるかもしれませんが、底には冷たい水が張っていますよ。風をしのげたとしても、水に足をつけるほうがキツいでしょう」と話す。

 捜査関係者によると、遺体の足は水につかっていたため、ふやけていた。生きて入った場合、激烈な冷たさと闘うことになる。

 「この担当を30年やっている同僚にも聞きましたが、『こんな話は聞いたことがない』と話していました。なんで男性が中で死亡していたのか、まったく見当がつきません」

 男性職員は首をかしげた。

■くみ取り式トイレから男性遺体も “理由”はさまざま

 およそ、人が入らないと思われるような場所で遺体が見つかるというケースは過去にもあった。

 平成元年2月、福島県都路村(現田村市)。女性教員の住宅のくみ取り式トイレの便槽の中から、村の青年会に所属する20代の男性の遺体が見つかった。

 当時の報道によると、男性は上半身裸で着ていたとみられるトレーナーなどを抱え、ひざを曲げて死亡していた。

 地元警察の捜査の結果、狭いところで閉じ込められた状態で死亡していたことが判明。凍死だった。警察は事件性は低く、男性が自ら便槽のくみ取り口から入り、出られなくなったと判断した。

 状況から「のぞき」目的とみられていたようだ。

 また、警視庁の捜査幹部は「あくまでも一般論だが、痴呆(ちほう)などが原因して、狭いスペースに入り込んで死亡することはある」と説明する。

 捜査幹部によると、床下や屋根裏の奥の方で、押し込まれたような状態で死亡している遺体が見つかることがある。死体遺棄事件を視野に現場を調べるものの、死亡者以外に発見現場までの経路を通った形跡がなく、事件性はないと判断されるという。

 「新宿の男性に関する最終的な事件性の有無は、身元や死因の特定が行われなければ分からない」と捜査幹部。新宿署は付近の住民やホームレスで行方不明者がいないか聞き込み捜査を行うとともに、病理検査を実施して詳しい死因を調べている。

 師走の都会に衝撃を与えた排水溝の遺体。近くに住む男性会社員(32)は「たぶん遺体があったときも、すぐ横を通っていました。真相がはっきりしていないから、今も薄気味悪さを感じながら通っています」と漏らした。

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